平成13年4月〜H14年3月期(10億円以上)
【平成13年度概況】
【平成13年度完工高ランキング】
社数・完工高総額ともに減少 減収企業半数を超えて成長率も過去最悪
(株)東京商工リサ−チ沖縄支店調べ(平成14年11月8日)
■概況
2001(平成13)年度沖縄県建設業完成工事高ランキングは、県建設業許可業者5,505社(大臣許可15社を含む平成14年3月末現在)の中で年間10億円以上の完成工事高を計上した企業を対象とした。
ランキング入りした企業は159社で前年度の173社を14社(8.1%)下回り、完工高総額も3,696億7,200万円となって前年度の4,217億4,700万円を520億7,500万円(12.3%)下回った。
前年度に過去最多を記録したランキング入り企業数は2年ぶりに減少、完工高総額も企業数の減少と減収企業が半数を超えた事で大幅な低下となった。対象企業の成長率は過去最悪のマイナス3.6%で、決算期変更のあった22社を除いた137社の実質成長率もマイナス1.1%となった。
県内トップゼネコンが顔を揃える上位10社の完工高トータルは1,085億300万円で、前年度の1,189億8,000万円を104億7,700万円(8.8%)下回った。完工高総額に占める上位10社の割合は29.4%で、前年度の28.2%を1.2ポイント上回った。この内、4社が100億円を超えており、93(平成5)年度からその顔ぶれは変わっていない。
増収企業は79社で全体の49.7%となり、前年度を18.5ポイント下回った。
完工高構成の殆どを占める5市(那覇市、浦添市、沖縄市、宜野湾市、名護市)の合計は、件数が141社(占有率88.7%)、完工高が3,369億6,900万円(91.2%)となり、前年度の151社(同87.3%)より10社、完工高も前年度の3,827億300万円を457億3,400万円それぞれ減少した。
2001年度の建設業界は、新設住宅着工戸数で持ち家が13.1%、分譲住宅が7.7%前年比でそれぞれ減少したものの、アパートなど貸家が23.5%増加して3年連続増加した。しかし、不良債権処理に伴って県内に事業所を持つ県外の中堅ゼネコンが相次いで倒産、公共工事も3年連続前年度を下回り、民間の大型設備投資も伸び悩むなどから厳しい環境にあった。
こうした環境の下、アパート建築を主体とする企業の成長は著しく、反面、公共工事の受注に高い実績を有するゼネコンなどは減収の目立つ結果となった。さらに、許可業者数は93年度より99年度まで7年連続増加していたが、前年度に99社減少したのに続いて今年度も36社減少。許可業者に占めるランキング入り企業159社の割合に於いても前年度の3.1%を0.2ポイント下回る2.9%となるなど、同業界の淘汰は進み、需要の低下で完工高実績も落ち込む厳しい状態が顕著に現れた。
■実質的成長率マイナス1.1%
ランキング企業159社の平均増収率はマイナス3.6%であるが、決算期変更のあった22社を除いた137社の実質的成長率はマイナス1.1%となり、前年度の6.0%を7.1ポイント下回った。
■増収企業79社、減収企業80社
ランキング企業159社の内訳は、増収が79社で全体に占める割合が49.7%となり、前年度の118社同68.2%を18.5ポイント下回り、1998(平成10)年度の47.4%以来3年ぶりに半数を下回った。逆に、減収は80社同50.3%となった。 新・再でランキング入りした企業は27社で、前年度の41社を14社下回った。
■ベストテン企業
1位は國場組で、大型工事が好調であった前期の反動から1998年度の234億3,900万円以来となる200億円台に止まったが、集計開始から揺るぎない地位を確保している。2位は沖電工で、沖縄電力関連の受注が半数以上を占め、県立中部病院改築やIT教育センターなどの公共工事に加え民間工事も好調で前期比3.2%の増収となり4年度連続2位を確保した。3位は金秀建設で、ブセナリゾート開発などグループ企業からの大型受注が好調であった前期の反動から前期比22.1%の減収となった。4位は大米建設で、県立中部病院改築や那覇少年鑑別所建築など公共の建築工事は好調であったが、公共土木工事が振るわず前期比5.8%の減収となった。5位は仲本工業で、前期に続きモノレール関連工事の減少や繰り越しの大型工事が多く、前期比1.6%の微増に終わった。6位は大城組で、期中の工事受注が好調に推移した事に加え、完工高の計上方法を完成基準から進行基準に替えた事もあって前期比22.3%の大幅な増収となり順位も一つ上げた。7位は沖創建設で、アパートやマンション建築の受注が好調に推移、伸び率も著しく前年度の20位から飛躍して初のベストテン入りとなった。8位は屋部土建で、前期に続き公共工事の受注は良かったが、民間元請けや下請け受注が冴えず、前期比12.0%の減収で順位も2つ落とした。9位は沖縄プラント工業で、沖縄電力からの工事受注が減少傾向にある中、金武火力1号機関連工事に加え好調な民間工事もあって前期比22.4%の増収となり、2年ぶりのベストテン返り咲きとなった。10位は共和産業で、無難な公共工事の受注に加え、民間の建築工事も安定して前年並みの完工高を確保した。
■増収率上位10社
順位
社名
業種
増減率(%)
当期完工高
前期完工高
1
(株)仲本ファブテック
鋼構造物
151.7
1.203
478
2
(株)沖設備
管・電気
116.2
1.185
548
3
(株)システム五千
建築
115.1
1.400
651
4
金秀鋼材(株)
大工・内装
86.8
1.414
757
5
(株)大興鋼業
土木
82.4
1.240
680
6
美善(株)
土木
82.1
1.038
570
7
(株)沖創建設
総合建設
75.8
6.341
3.606
8
兼光建設(株)
土木・建築
69.2
1.203
711
9
不動ホーム(株)
建築
57.1
1.062
676
10
(株)共洋土建
土木
41.7
1.019
719
増収率1位は仲本ファブテックで、ランキング総合順位が5位の(株)仲本建設の関連会社として同社から殆どを受注、設立2期目のランク入りとなった。2位の沖設備は、FRTIDCビル新築工事(機械設備・電気工事工区)が大きく寄与、2年ぶりの返り咲きも果した。3位のシステム5千も2年ぶりの返り咲きで、アパート建築工事を手掛けており、前期からの繰り越し工事が寄与した。4位の金秀鋼材は、自社開発の型枠システムによる同部門の伸びが貢献して初のランク入り。5位の大興鋼業は、国立組踊り劇場や慶座地下ダムなど活発な受注があった。6位の美善は、土木の公共や下請け、建築元請け工事など全般的に受注が伸びてランクキングも初登場。7位の沖創建設は、ローコストアパートの受注や分譲マンション建築の受注が好調で増収を続けている。8位の兼光建設は、下請けによる土木工事の受注増加があった。9位の不動ホームは、2×4の木造や鉄筋コンクリートの注文住宅建築工事を手掛けており、初のランク入りとなった。10位の共洋土建は、電力関連など下請け受注と公共のJV工事が寄与、ランク入りも初となった。
増収率上位10社の内、5社がランキング初登場で、返り咲きが4社、連続が1社となった
■減収率上位5社
順位
社名
業種
増減率(%)
当期完工高
前期完工高
1
(株)小波津組
土木建築
△56.5
1.241
2.855
2
國和設備工業(株)
管
△52.1
1.600
3.340
3
(資)上原興業
総合建設
△48.8
2.421
4.724
4
(株)オーダック
建築
△45.9
1.165
2.154
5
仲本建設(株)
建築・土木
△39.9
1.064
1.770
■市郡別完工高並びに社数
10市合計の社数は前年度の151社を10社下回る141社となったが、全体に占める割合は前年度の86.1%を2.6ポイント上回る88.7%となった。各郡別の社数(占有率)は、中頭郡12社(7.5%)、島尻郡4社(2.5%)、国頭郡2社(1.3%)となり、前年度比で中頭郡が3社増加した以外は島尻郡が4社、国頭郡が3社それぞれ減少した。市町村別ではゼネコンの集中する那覇市が前年度より11社減の67社、全体の42.1%を占め、以下は浦添市が前年度比4社減の30社(占有率18.9%)、沖縄市が同3社増の13社(同8.2%)、名護市が同1社減の10社(同6.3%)、宜野湾市が同数の9社(5.7%)と続いている。また、トップテン企業は那覇市6社、浦添市2社、沖縄市、名護市各1社となった。完工高構成は、那覇市が52.1%で、2位は浦添市18.0%、3位は沖縄市6.7%と続き、公共工事の需要が多い県都那覇市に本社を移す傾向があった影響で那覇市は1995年度から連続して過半数を超えている。
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