■概況 |
2004(平成16)年度沖縄県建設業完成工事高ランキングは、県建設業許可業者5,521社(大臣許可11社を含む平成17年3月末現在)の中で年間10億円以上の完成工事高を計上した企業を対象とした。
ランキング入りした企業は153社で前年度の158社を5社(3.2%)下回り、完工高総額は3,414億1,100万円となって前年度の3,570億7,900万円を156億6,800万円(4.4%)下回った。完工高総額は00年度に4,000億円を超えた以降、減少傾向にあって過去10年間でも最少となった。
対象企業の前期比成長率はプラス0.0%(0.02%)で、また、決算期変更のあった6社を除いた147社の実質成長率はマイナス2.4%となった。成長率は3年ぶりにマイナス成長となり、完工高総額も2年連続減少した。
県内トップゼネコンが顔を揃える上位10社の完工高トータルは970億1,100万円で、前年度の1,120億3,500万円を150億2,400万円(13.4%)下回った。完工高総額に占める上位10社の割合は28.4%で、前年度の31.4%を3.0ポイント下回った。この内、100億円企業は93(平成5)年度から前年度まで同じ顔ぶれであったものの、今回は大米建設が12年ぶりに100億円を割込んだ事から3社に減少した。
増収企業は87社で全体の56.9%となり、前年度の51.9%を5.0ポイント上回った。
完工高構成の殆どを占める5市(那覇市、浦添市、名護市、沖縄市、宜野湾市)の合計は、件数が123社(占有率80.4%)、完工高が2,915億9,300万円(同85.4%)となり、件数が前年度の124社(同78.5%)より1社、完工高が前年度の3,054億8,200万円(同85.6%)を138億8,900万円それぞれ下回った。
04(平成16)年度の建設業界は、西日本建設業保証沖縄支店の公共工事発注者別の前年同期比請負金額で見ると県で10.3%、市町村で12.2%、国で8.8%それぞれ減少して全体では10.3%落ち込み、中南部・北部・離島に分けた全ての地域と工事種別でウエイトの大きい土木工事の落ち込みが目立った。新設住宅着工戸数は前年同期比4.6%の増加となった。今年度は、隔年で行われる県の指名ランク見直しの対象決算期を迎えた企業が殆どを占めたなか、許可業者5,521社の内、社数で2.8を占める153社の企業が登場したものの、社数、完工高総額共に2年連続減少、特に完工高総額は過去10年間で最少となった前年度をさらに下回る結果となった。件数は、基準決算期に当たっていた00年度で5件、02年度で10件いずれも新・再で登場する企業が前年度比で増加していたが、前年度比で2件減少したのに加え、脱落企業も2社増えた事が影響した。完工高総額は、100億円を超えた上位3社と100億円から脱落した1社の計4社で194億5,200万円前期比で落としたのが影響した。すなわち、これまで県の指名ランク見直しの決算期に当たる年度は、経審の評点アップを図るため完工高を増加させて来たが、公共工事の削減が響き、過去、類を見ないマイナス成長となった。なお、経営事項審査は、手持ち工事や売掛金など未収金の計上が少ないほど良い事から決算期を6.7.8月にする傾向が強く、今回の対象企業の中で同3カ月に102社(66.7%)が集中した。
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■実質的成長率マイナス2.4% |
ランキング企業153社の平均増収率はプラス0.0%(0.02%)の微増であるが、決算期変更のあった6社を除いた147社の実質的成長率はマイナス2.4%となり、前年度のプラス0.9%を3.3ポイント下回った。 |
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■増収企業87社、減収企業66社 |
ランキング企業153社の内訳は、増収が87社で全体に占める割合が56.9%となり、前年度の81社同51.9%を5.0ポイント上回った。減収は66社同43.1%となった。(03年度の増減収には、新設企業2社を含んでいない)
新・再でランキング入りした企業は22社で前年度の24社を2社下回った。逆にランク落ちしたのは前年度を2社上回る26社であった。 |
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■ベストテン企業 |
1位は集計開始から揺るぎない位置を確保している県内最大手の國場組で、ゴミ処理場建設などで公共工事は増加したが、大型ショッピングセンターの完工があった前年度の反動から民間部門が落ち込み、全体で29.7%の減収となった。2位の沖電工は、土木で電力の那覇幹線新設、建築で専門学校などを手掛けたが、主力の電気工事部門で大きく落ち込んだ事が響き、2期連続の減収となった。3位は金秀建設で、マンション新築工事などで建築部門はほぼ前年並みを確保したが、土木部門で民間元請けの落ち込みが大きく、2期連続の減収となった。4位は仲本興産で、かりゆしブセナリゾート建築や中北部ゴミ焼却炉建設など大型工事があって前期比1.0%の増収となり、04年11月1日には新設分割による新生仲本建設を立ち上げて工事部門を引き継いでいる。5位は大城組で、03年10月に新設分割して初の12ヵ月決算となり、大保ダム、石川浄水場など大型工事の受注が好調であった。6位は4年連続ベストテン入りの沖創建設で、関連会社で手掛けるマンション建築及び共同住宅建築など民間受注を主体に、県外進出もあって決算期を6月に変更した99年度から5期連続増収を続けている。7位は大米建設で、土木で南大東漁港や平良港、建築で遊技場建築などの大型工事もあったが、建築部門の落ち込みが大きく、前期比で43.2%の減収となり、92年度以来100億円を割り込み、順位も前年3位から後退した。8位は太名嘉組で、普天間高校屋内運動場・プール改築、野甫大橋橋梁など公共工事の出来高が好調で2期連続増収となった。9位は屋部土建で、本部南大橋、新石川浄水場、国立高専、瑞慶覧低層住宅など大型物件が活発で、前期比6.8%の増収となった。10位は初のベストテン入りとなったアメリカンエンジニアコーポレイションで、米軍基地内の工事が殆どで、高層アパートの空調工事など大型物件の出来高があって3期連続増収となり、設備工事主力で唯一のベストテン入りとなった。 |
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■増収率上位10社 (単位:百万円) |
順位 |
社名 |
業種 |
増収率(%) |
当期完工高 |
前期完工高 |
1 |
(株)宮昌工業 |
建築・鉄骨 |
142.8 |
1,459 |
601 |
2 |
(資)平安名組 |
建築・土木 |
115.4 |
1,613 |
749 |
3 |
(株)信用組 |
建築・土木 |
111.3 |
1,536 |
727 |
4 |
(株)小波津組 |
土木・建築 |
91.6 |
1,514 |
790 |
5 |
西里建設(株) |
土木 |
90.2 |
1,160 |
610 |
6 |
(株)吉永組 |
土木・建築 |
80.8 |
1,029 |
569 |
7 |
(株)共和技研 |
建築 |
75.8 |
1,234 |
702 |
8 |
(有)テックダイユウ |
土木 |
64.0 |
1,010 |
616 |
9 |
(株)りゅうせき建設 |
建築 |
63.8 |
3,394 |
2,072 |
10 |
沖縄建装(株) |
建築 |
57.1 |
1,748 |
1,113 |
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増収率1位は宮昌工業で、ゼネコンの下請けで大型ショッピングセンターの工事出来高が寄与し、2年ぶりのランク入りも果した。2位の平安名組は、土木公共で2億円を超えた大型工事が好調で、隔年でのランク入りが続いている。3位の信用組は、民間建築で6億円余りの大型工事と公共土木の受注増加があった。4位の小波津組は、全体の85%を占めた公共工事の受注持ち直しから大幅増収でランクにも返り咲いた。5位の西里建設は、県より受注で1億円を超えた土木工事が6件あった事が寄与して00年度以来、4年ぶりのランク入りとなった。6位は吉永組で、南大東漁港や久米島町廃棄物最終処分場など大型工事の完工で00年以来、4年ぶりの返り咲ともなった。7位の共和技研は、大型工事や繰越工事が多かった前期から一転、民間で大型のビル建築工事が活発で、2年ぶりのランク入りも果した。8位のテックダイユウは、県外ゼネコンなどの下請けで土木工事を手掛け、1億円以上の大型工事の受注増加から初のランク入りともなった。9位はりゅうせき建設で、大型ホテル並びにショッピングセンターなど民間建築が好調であった。10位は沖縄建装で、アパート建築を中心に受注の拡大があり、増収も続けている。 |
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■減収率上位5社 (単位:百万円) |
順位 |
社名 |
業種 |
減収率(%) |
当期完工高 |
前期完工高 |
1 |
光通信工業(株) |
電気・通信 |
△47.2 |
1,049 |
1,988 |
2 |
(株)大米建設 |
総合建設 |
△43.2 |
7,074 |
12,446 |
3 |
(株)サンライト |
管 |
△33.8 |
1,084 |
1,638 |
4 |
(株)丸元建設 |
土木・建築 |
△33.6 |
1,807 |
2,271 |
5 |
(株)沖縄工設 |
土木・管 |
△30.6 |
2,075 |
2,992 |
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■市郡別完工高並びに社数 |
10市合計の社数は前年度の138社より4社減少の134社となり、全体に占める割合は前年度の87.3%を0.3ポイント上回る87.6%となった。各郡別の社数(占有率)は、中頭郡11社(7.2%)、国頭郡、島尻郡各4社(各2.6%)となり、前年度比で国頭郡が1社増加、島尻郡が同数、中頭郡が2社減少した。市町村別ではゼネコンの集中する那覇市が前年度より3社増の62社、全体の40.5%を占め、以下は浦添市が前年度比3社減の30社(占有率19.6%)、沖縄市が同数の13社(同8.5%)、宜野湾市が同1社増の11社(同7.2%)、名護市が同2社減の7社(同4.6%)と続いている。また、トップテン企業は那覇市5社、浦添市2社、沖縄市、名護市、宜野湾市各1社となった。完工高構成は、那覇市が48.7%で、2位浦添市19.3%、3位沖縄市6.9%と続き、国・県など公共工事の発注機関が多い県都那覇市に本社を移す傾向があった影響で那覇市は1995年度から前年度まで過半数を超えていたが、那覇市に本社を置く上位陣の減収がここでも影響して94年度の49.2%以来、9年ぶりに半数を下回った。
なお、旧具志川市が97(平成9)年度に1社が対象となった以降は対象が無く、旧宮古郡と八重山郡は集計開始以来、対象無しである。 |
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